
見る力を鍛えて、脳を元気に!
私たちはデジタル機器をから日々大量の視覚情報を受け取っています。しかし、多くは無意識に流し見しているだけで、脳の活性化には繋がりにくいと言われています。
脳の機能、特に記憶力や集中力は年齢と共に衰えやすいものですが、「見る」という行為を意識的にトレーニングに取り入れる「視覚学習」によって、その働きを維持・向上させることが可能。視覚情報は脳の様々な領域を刺激するため、視覚学習は認知機能全体を効率よく鍛えられる脳トレです。
この記事では、日常生活の中で手軽に始められ、楽しみながら脳の衰えに抗うことができる、おすすめの視覚系脳トレを5つご紹介します。
おすすめ脳トレ5選
1. 間違い探し:観察力と集中力を磨く
2つの絵を見比べて、細かな違いを発見する過程では、脳の「前頭前野」が活発に働きます。
この領域は、注意力や集中力、ワーキングメモリ(短期的な記憶)を司る重要な部分です。間違い探しに集中することで、多くの情報の中から特定の情報を見つけ出す「選択的注意」という能力が鍛えられます。
ゲーム感覚で取り組めるため継続しやすく、観察眼が養われることで、日常生活においても物事の変化に気づきやすくなるというメリットも期待できるでしょう。
2. ジグソーパズル:空間認識能力を育む
特に「空間認識能力」を鍛えるのに効果的です。ピースの形や色、絵柄の断片的な情報から、全体像における正しい位置を推測し、頭の中で回転させながら試行錯誤するプロセスが、脳の頭頂葉を強力に刺激します。
この部分は、物体の位置や方向、大きさなどを把握する能力に関わっており、車の運転や地図の読解など、実生活にも深く関わっています。根気強く取り組むことで、問題解決能力や達成感も得られ一石二鳥。
3. 神経衰弱(絵合わせゲーム):ワーキングメモリを強化
カードの「場所」と「絵柄」という2つの情報を短期的に記憶し、照合する作業を繰り返すことで、脳のワーキングメモリが直接的に鍛えられます。
ワーキングメモリは、会話の内容を理解したり、計算をしたりと、日常的な知的活動の基盤となる重要な機能です。このトレーニングは、記憶の中枢である「海馬」や、情報処理を司る「前頭前野」を活性化させることが分かっています。
アプリやカードゲームで手軽に一人でも楽しめ、記憶力の向上を実感しやすいのが魅力です。
4. アハ体験:ひらめきで脳をリフレッシュ
徐々に変化する画像や、見方を変えると全く違うものが見えてくる「だまし絵」などを用いて「あっ!」というひらめきの瞬間(アハ体験)を誘発するトレーニングです。
このひらめきの瞬間、脳の側頭葉にある「上側頭回」という部分が活発に活動することが研究で示されています。
アハ体験は、凝り固まった思考パターンをリセットし、新しい視点や発想を生み出す手助けをしてくれます。物事を多角的に捉える柔軟な思考は、脳の老化を防ぐ上で非常に重要です。
動画サイトなどで手軽に体験できます。
5. ステレオグラム(立体視):脳の情報統合能力を高める
一見すると無意味な模様にしか見えない画像を、焦点をずらして見ることで立体的な絵が浮かび上がってくる「ステレオグラム」。
このトレーニングは、左右の目から入ってくる少し異なる情報を、脳が一つに統合して3Dイメージを再構築するという、高度な情報処理能力を必要とします。
普段あまり使わない脳の回路を刺激することで、脳全体の血流を促進し、柔軟性を高める効果が期待できます。見えるようになった時の驚きと感動は格別。
脳に新しい刺激を与え、眠っている能力を呼び覚ます脳トレです。
楽しみながら続けることが、脳の健康の秘訣
今回ご紹介した5つの視覚学習トレーニングは、脳の様々な領域をバランスよく刺激し、認知機能の衰えに抗う力強い味方となってくれます。
最も大切なのは、義務感でやるのではなく、「楽しい」と感じる心を持ち、無理のない範囲で継続することです。
まずは興味を持ったものから一つでも、生活に取り入れてみてください。意識的に「見る」ことを楽しむ習慣が、10年後、20年後の脳によい影響を与えてくれるはずです。